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筋電メディカル徒然日記

2021年10月29日

徒然日記 42
彼と博士のものがたり⸺彼が博士になるまで

筋肉に電流を流す?めっ、滅相もない!75歳になって、若い時はパンパンだった筋肉も衰え、自分の歩く姿がショーウインドウに映るのに眼を逸らし、いつの頃からは記憶にないが、一緒に歩いていた連れ合いの後を懸命に追いつこうとする姿。時々連れ合いが止まり、追いつこうとする姿をあざ笑うように待たずに歩き出す姿。よく見かける老夫婦の風景が、そこにある。
 
「歩かねばいけない!それもスピーディーに!エネルギーを消費せねば、ぶよぶよに太ったり、生活習慣病になったり、脳溢血になったり、挙句の果ては、認知症になったりするぞ!」以前巷では、随分と語られていた。
確かにいろいろなお医者様の治験を総合するとそうなるのかも知れない。しかし、医学の進歩は、速い!急ぎ撃退せねばならない新型ウイルスの予防薬や治療薬を発見しながら、誰にでも起こりえる生活習慣病の各々を研究している学者が成果を出している。
 
テレビを観ていても、健康に関する話も多く、先日テレビの前でウトウトしていたら、「人間の腸内に無数の種類の菌が存在しています。その中に太る菌と痩せる菌もあるのです。普通、五分五分にあるのですが、人によって六分四分、七分三分、など親から貰った菌のバランスに左右されることもある。太る菌が痩せる菌に勝れば、当然、その人は太るんです、宿命のようなものです」寝起きでボーっとしているのだから「無数の種類」と言ったのか「無数の菌」と言ったのか、たしかに“無数”ではなく、何億か何兆か言ったはずなのに、テロップで流れたはずなのに全く思い出せない。しかし、この理論が正しければ“太っている”のは「痩せなければならないのに、その努力を怠っている!」わけではないのだ。その人の個性と言ってもいい、と思ったところでこの話、確かどこかで聞いたなと思った。そうだ、森谷敏夫先生が以前話されていた。
スタイルが美しい!この魔の神話は、誰が決めたのか?ただただ時代の変化の一部に過ぎない。現在、イケメンと呼ばれて、ちやほやされている人も、いつ谷底に落ちるとも限らない!この話は「美」の話。筋肉の話ではない!筋肉を付ければ「美」も付いてくるという話ではない。筋肉は、生きていく臓器で、美しさの善し悪しと切り離して考えるべきである。
 
「筋電メディカルEMS」の発明者、森谷敏夫京大名誉教授は、人間最期を迎えるまで幸福であってほしいとの一心で、研究し続けてきた。電気を外部から流して筋肉を刺激し、負荷をかけ、テレビを観ながら100mダッシュを何本か、または、ジョギングを何kmか走ったのと同じ効果が出るEMSを開発した。知識がなければ、ちょっと恐ろしい。私など電気椅子を思い出してしまう!しかし、それが無知からきた考えだとわかる。もともと脳から電気が流れて神経に伝わり筋肉に何々をせよ!と命令が下るように、できているのだから!その開発者の森谷博士がどんな人かを知らなければ、自分の身を預けられない。ぜひタイトルに書いた本を読んでほしい!
電書版がAmazonkindleストアで掲載された!
 
『京大の筋肉SP 筋電メディカル発明者 Dr. Toshio Moritani
彼と博士のものがたり⸺彼が博士になるまで』
電書版

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹