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筋電メディカル徒然日記

2021年11月12日

徒然日記 44
若者たちの中の年寄り

私の住む街は実に面白い!最近人気になった街で、銀座や有楽町まで、ものの10分、地下鉄で3つと4つ目である。バスで東京駅まで20分、それも頻繁に来る。羽田行きのリムジンもあり25分で着く。下町の深川や門前仲町へのバスも錦糸町・東京スカイツリーへのバスもある。私が溜池山王のオフィスに行くときは、新橋行きのバスで終点まで乗り、渋谷行きのバスに乗り換えれば、オフィスの前で降りられる。ちょっと値は張るが、なんとなく景色を楽しみたい時は、新橋から“ゆりかもめ”に乗り終点で降りる。
 
10年前に、終の棲家としてこの街を選んだ時には、まだまだ野っ原ばかりだった。石川島播磨の造船所跡地で、江戸古地図にもある石川島。晴海橋を渡れば中央区である。10年間、雨後の筍のようにタワービルが建った。マンションもあれば、ビジネスビルもある。最近開発された有明にもタクシーで1000円出せばおつりがくる。歩いても行けるが、ちょっと億劫な距離でもある。渋谷や原宿で遊んでいた若者が長じ、カップルができて結婚したみたいな街は、子供たちで溢れかえっている。若いママが乳母車を押し、子供の手をひき闊歩する街、小学校が足りなくて新しく造った街、産科が減っている現在、産科や婦人たちを優先した考えで大病院を新たに造った街、大きな公園からは澄んだ日には、レインボーブリッジ超しに富士山が見える。東京タワーも東京スカイツリーも見える。あちこちに保育園が点在して、あちこちから子供の声が聞こえる。
 
私が越してきた時は、草っ原が多かったから値段もリーズナブルだった。東京湾に面している。テレビを観ていると、コマーシャルでよく使われている。海沿いの道には、10mおきに、10、20、30と金属板が埋め込まれていて、昔陸上部の短距離の選手だった75歳の私の胸も高鳴る。ジョギングする人、散歩をする人、休みの日は、駐車場に入ろうと自動車が並ぶ。上手くできているのだろうか、流れはいい!たぶん東京都がテストケースで造った街なのだろう。今も開発が進んでいる。
私の住むマンションは、ひときわ大きい。大きな敷地に3棟も建つ。開発者のひとり石川島播磨、今のIHIの社長も住んでいると聞く。調べたことはないが、部屋数が1500戸、5000人くらいが住んでいるそうな。
 
ひとり、外国人の夫人が電動車椅子に乗っている。以前は、普通の車椅子でご主人と覚しき人が押していた。その後、電動にして、ご主人がその後を追うようにヨロヨロと老人歩きをしていた。そして、少し前には、ご主人に介護士が付くようになり、夫人はスイスイと電動で先に行く姿をよく見た。最近は、彼女は常にひとり電動車椅子を動かしている。彼女は、私より10歳以上年上だろう!あの夫は、どうしてしまったのだろうか、男は弱い、女性は強い!
大きなマンションだから、車椅子の人、杖をつく人、脳梗塞を患ったであろう人、赤ん坊、よちよち歩き、保育園生、小、中、高生、若夫婦と人生の縮図がその建物にはある。私も筋肉を鍛えて元気で老後を楽しまねば!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹