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筋電メディカル徒然日記

2022年04月28日

徒然日記 66
私見「文献言語解釈」
最終話 E M S

私が森谷敏夫教授に出会ったのは、何年前になるだろう?京大の名誉教授、京大で学生から一番受けたい授業の教授。お会いすることになった時、さぞかし難しいお顔をして、難しい話をする方だろうなぁと、かなり緊張していたことを思い出す。また私は、学生のころ陸上部で昔の方法で筋肉を造っていたものの、今やブヨブヨの体を持て余していたから、教授のあの逞しい筋肉を見るのが辛かった。
 
私の体も筋肉で締まっていた時もあったのだ!昔の方法しか知らない私は、それに自己流を加えてなんとか出た腹を元に戻そうと努力をしてみた。一度決めると根気強いと自負をしている私だが、若い時のように腹が元のようにならない!好きだったズボンも履けなくなり、ブランド物のベルトも放置してある。使えないものだから捨てればいいのだが、いつか元に戻るはずと、努力もせずに後生大事にしまっている。
脚などは、以前筋肉があったような跡はあるのだが、身を支えるだけの力が減ってきていると自分はわかっていた。
 
そうだ!陸上競技はこの歳で出来ないけど、学生時代にやっていたドラムを1から再度始めてみようか、昔自己流でやっていたドラムに妙な悔いや、ドラマーという名に妙な羞恥心があった。ちゃんと学んだ経験がなかったからだ。
ドラムは、強く叩くのは優しいが、弱く叩くのは難しい。右の手、左の手とアクセントをつけるのもなかなか困難である。70歳に近づくにつれ、やりたい気分が増してきた。認知症予防に最適なような気がするし、運動不足を補えるし、自分の趣味だから楽しいし、一石三鳥だ!
 
ドラムの教室では、昔と違って良い生徒だった。小学生の時のようにズル休みもしないし、学生時代のようにサボりもしない!苦しくても、辛くても、楽しいのだ。ただ叩くには、さほど力はいらないけれど優しく叩いたり、アクセントをつけたりするには筋肉が必要だった。加齢により筋肉が落ちていた。ドラムを習い始めて痛いほど筋肉の必要性がわかった。
 
そんな頃、森谷教授の講演によくお付き合いさせて頂くようになった。教授の「EMS筋電気刺激)」の話を聴いた時、私は、ドラムの趣味を継続するためには「これだ!」と思った。
人間の動き「歩いたり、走ったり、寝転んだり…」意識しないでも体が動くのは「脳から脊髄を経て運動神経への電気刺激で命令を伝え、筋肉が収縮してその動きを実現させる」と教授は言う。筋肉さえ、昔のようにしっかりさせれば今からでもドラムを上手く叩けるようになるかも知れない。しかし、加齢には勝てないかも知れない。
森谷教授は言っていた「加齢や何かの要因で、脳からの刺激が出来なくなっても、外部から他動的に電気刺激すれば筋肉は動くよ!維持するだけじゃなくて、強くもなる!」と。
EMSは、私がドラマーあり続けるためには必需品であるようだ。

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹